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2016-07-29 18:40 | カテゴリ:映画音楽
さてさて、過去の記事で、予告編の音楽が、初代ゴジラの伊福部昭の音楽へのオマージュであることを、独自の分析によって明らかにしました。

さて、映画本編はというと。

(…ここからネタバレあり!!)


伊福部昭の音楽に溢れていましたね!

伊福部昭オマージュとかいうレヴェルではなく、まさに原点回帰。

自分は、今回の映画に付される、鷺巣詩郎作品に大いに期待していたのですが、あくまで伊福部というハンバーグに添えるブロッコリーやニンジンのような感じでした。

音源も、当時録音されたもので、新しい映像と古い音楽の融合は、とても新鮮な演出でした。

…と言うような全体的な事は、誰でも言える事だと思うので、もう少し深めていきましょう。

庵野&鷺巣コンビの代表作、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズでは、予告動画を、セリフなしのミュージックビデオのような感じで、本編を予測させないような断片的な本編映像をバラバラと貼り付けて作っておいて…そしてその楽曲を、本編の一番盛り上がるシーンで流すことで、観客に「キターーー」感を存分に味わわせる、というのがパターンでした。

しかし、今回はどうでしょう?

なんと、序盤の(しかも、ゴジラが何だかよく分からない姿の時の)のシーンで、早々と使ってしまったのです。

これには肩透かしを喰らいましたね!

パンフレットに書いてある通り、鷺巣さんのトリックは成功していたと思います。

しかし、パンフレットに書いていないトリックも、鷺巣さんは仕掛けていたのでは?
というのが、本記事の主軸になります。

トリックひとつめ。

【序盤と、中盤以降の緩急。】

序盤は、動きの鈍〜〜い政治家たちが中心となって物語が進むのですが、ここに全然、音楽は付けられません。
庵野作品にしては、会話のリズムも悪いし、調子外れです。

ようやく作戦が動き出し、音楽キタ!と思いきや、エヴァのDecisive Battle(決戦)をもじったような、偽モンの、パチモンのような音楽が流れ始めます。

(ようやくキタ!……でも何だか微妙…燃えない…)

というのが自分の第一印象だったのですが…

物語が動きだすキッカケ…各分野のスペシャリスト(ただし鼻つまみ者)たちが集められるシーン以降、本物のDecisive Battleが流れ、会話もリズミカルに、カッコよく流れ始めます。

「やられた!」

音楽を用いた、音楽でしかできない表現。

これを、映画の展開に合わせて効果的に配置した、そのトリック!

庵野&鷺巣コンビは映画作品において、音楽、音声の流れを意識し、巧みに利用することが出来る、稀有な才能だと思います。





2016-07-29 17:23 | カテゴリ:映画音楽
『シン・ゴジラ』予告編!その音楽
↑劇場公開前の、予告動画の音楽に関する記事

さて、いよいよ本日公開となりました、庵野監督の『シン・ゴジラ』!
IMAXで朝から観て参りました!
ネタバレなしの、総評と言うか…まず個人的な感想。

270%、満足いたしました!!

想像を遥かに超える出来です!

巧妙な展開!鮮やかな映像表現!
原点回帰に留まることのない、同時代性と強烈なメッセージ!

日本という国のリアリティ。そして、紛うことなき、庵野ワールド!

芸術性とエンターテイメント性の両立。

こんな作品は、そうそう現れないでしょう。

これから商業的な成績がどうあれ、間違いなく、日本映画の金字塔に加えられると、自分は確信しています。

興味のある皆さんは、是非是非、劇場へ足を運んで下さい!
それだけ価値のある作品です!

もう観てきたよ!という方は、ネタバレありの、次の記事へ!
音楽に焦点を当てて、語って行きたいと思います。

つづく
2016-05-17 02:50 | カテゴリ:クラシック音楽

このブログはどうも研究分野が「音響」寄りになってしまっているので、ここは一つ、大きく舵を切って「拍子・リズム」について考えてみることにする。

最初のテーマは「8分の6拍子」系についてだ。

ポップスやジャズ、ロック、クラシック音楽では「4分の4拍子」がほとんどを占める。
基本中の基本というべきか、なぜか音楽においては、4つで1セットという、言わば「常識」がある。
4分音符4つで、一小節の「全音符」となるし、メロディーは4小節で大きな1セットになる場合が多い。

しかし、8分の6拍子は、1小節が「3つセット」×2からなる拍子だ。
8分の12拍子は、「3つセット」×4となる。
こういう言い方をするとなんだか複雑な気がしてくるが、実際にその拍子で書かれた曲を聴いてみて、複雑に感じる人はいないだろう。…むしろとても自然な感じで、くつろげる。

ケルト系の民族音楽に多いし、クラシックでも、「舟歌」といったものや、ダンスミュージック、「タランテラ」といったもので頻繁に見かける。ポップスでは、中島みゆきの「時代」などだろうか。

そしてなんとなく、個人的に、「人と自然が調和したような印象」を受ける。かつ、前進感がある。

これはなぜか?

本では答えが見つからなかったので、ひとり思索にふけっていた。
そしてある日、そんな思索をやめかかっていた頃、人気のない地下鉄駅を歩いていてハッとした。

「足音だ」

構内に響く自分の足音、まさにこれが8分の6拍子の特徴を呈していた。
人間の、靴音。
右足を踏み込む音。コレが第1拍目。そして2拍目が休符。3拍目は、左足のかかとの着地音だ。これで1セット。
そして左足の踏み込む音。コレが次の第1拍目。再び2拍目が休符。そして3拍目は、右足かかとの着地音。これで2セット。…あとはこの繰り返しである。

皆さんも是非、試してみて欲しい。少し歩くのが楽しくなるのではないだろうか?

「歩くリズム」の音楽として「行進曲(マーチ)」が代表格として挙げられるだろうが、行進は「自然」ではないし、実際つかれる。

8分の6拍子を聴くときに感じる自然な前進感の印象は、人の体に染み付いた、ヒト独特の「自然な歩行のリズム」に由来するのかもしれない。
2016-04-16 19:29 | カテゴリ:映画音楽

アニメ『ふしぎの海のナディア』よりレクイエム

『シン・ゴジラ』予告

さて、この2つの音楽は共に、庵野監督の作品につけられた、鷺巣詩郎氏の作曲作品だ。

上は庵野監督のデビュー作ともいえる、ふしぎの海のナディア(1990〜91)。

下は2016年夏公開予定の、『シン・ゴジラ』。

この『シン・ゴジラ』の音楽について、前回の記事で「これは初代ゴジラ(1954)の伊福部昭の〈海底下のゴジラ〉へのオマージュである」ということを述べてきたが、書き終わった後でなにか引っかかったので、2chのエヴァ板の、『シン・ゴジラ』についてのスレを覗いてみたら、興味深いレスがあった。

それが、「あの曲は、ふしぎの海のナディアのコレだよ」という内容のものであり、リンクでYoutubeへの動画へ飛んだ。

確かに2つを聴き比べてみると、よく似ている…というより、テイストとしてほぼ同じだといえる。そしてやはり、音型の一部も一致する。

ここ最近、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』において、過去作ナディアの音楽を転用していることを鑑みると、確かにその可能性も高いだろう。

つまり、前回の記事での分析内容も加えてみると、この『シン・ゴジラ』の音楽は、伊福部昭の「海底下のゴジラ」+鷺巣詩郎の「レクイエム」の重なったもので出来ているということになる。

前記事では、「ゴジラの復活」を音型で表しているのだ!と息巻いてしまったが、なんということだ。

「レクイエム」は死者への鎮魂歌である。

うーむ…ややこしい…どういうことだろうか…

…いや、ここで難しいことを考えるのは、やめよう。

答えは、当日、劇場で見てみてから出すことにします。



2016-04-15 22:03 | カテゴリ:映画音楽

ゴジラ(1954)より 伊福部昭作曲(海底下のゴジラ)

『シン・ゴジラ』予告 

さて、最初にこの2つの曲を聴き比べて欲しい。

上が、1954年の初代のラストシーンに流れる、伊福部昭作曲の「海底下のゴジラ」である。
「ゴジラ、ゴジラ」で有名なドシラ、ドシラの音型が、ここでは移置され♭ミレドになり、音価が引き伸ばされている。
♭ミーーレーードーーレーー♭ミーー…と、ゴジラの死と浄化を、美しい弦楽器群で描いているのだ。

そして、下が最新作『シン・ゴジラ』の予告の(十中八九、鷺巣詩郎の)新曲である。
コーラスの上のメロディーに紛らわされず、中声部の(第2ヴァイオリンかヴィオラあたりの)音を聴きとって頂きたい。

なんと、ドーーレーー♭ミーーレーー…と、「海底下のゴジラ」と同じモチーフを反行させているのである。



…これは、単なる偶然だろうか?

いや、ここまで来ると、単なる引用、オマージュやリスペクトというもので済ませるのも物足りなくなる。

もっと掘り下げたい。

日本の公開名は「シン・ゴジラ」だが、海外には「Godzilla Resurgence」と銘打ってあるようだ。
すなわち、「ゴジラ復活」である。

しかしその予告の曲というは、伊福部が「ゴジラの死」を描くために用いた音を「逆行」させているのだ。

「死」の逆、「誕生」もしくは「復活」。

「死と新生」。


…いやはや、また一本取られましたよ。


ということで、僕はあの「シン・ゴジラ」が、初代ゴジラが骨になった状態から、奇跡的に復活した「同一ゴジラ」であるという設定であることに賭けたいと思います。

予告を見た外国人が、リアクションをYoutubeにアップしているですが、そのコメントに「He looks like a zombie(ゾンビみてえだ)」という反応が複数ありましたが、あながち間違いではないのかもしれません。


(つづく)
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