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2016-01-08 19:42 | カテゴリ:クラシック音楽
僕がこの作品に出会ったのは、17歳、2006年の夏頃でしょうか。
それまでなんとなく、90年代後半に社会現象になったことだとか、初号機だとかキャラクターの造形を知っているだけで、世界観やストーリーについては全く知りませんでした。

初めて本編に触れたのは、旧テレビシリーズの第六話「決戦、第3新東京市」のヤシマ作戦の回だったと思います。なんとなく垂れ流してた家のケーブルテレビの、ANIMAXチャンネルでの一挙放送。当時の僕は、別にアニメオタクでもなんでもなく、硬派に、日々の学校での勉学とクラシックピアノに打ち込んでいる少年でした。

しかし、その時ひと目で「これは見ておくべき作品だ」と直感し、再放送の第1話から見てみることに。結果、一瞬でドハマリ。それからです。今では立派なアレです。

さて、御存知の通りこのアニメ作品。TV版は全26話あります。前半は健全で、人類の敵にロボットで立ち向かうアクションものなんですが、後半から次第に、雲行きが怪しい展開が続き、終盤において、それはもう悲惨極まりない状況に至ります。しかし、そのストーリーや世界観、キャラクター描写は、「卓越した作画」と「演出」、声優陣の「演技」によって、凄まじいまでの存在感を放ち始めます。

…が、僕が中でも注目するのは、やはりそこに加わる「音楽」です。特に、クラシック音楽。
(音楽担当の鷺巣詩郎さんの楽曲について語りたいことはありますが、そこはまた後日)

第拾伍話、シンジの弾くバッハの『無伴奏チェロ組曲第1番』に始まり、ヘンデルの『ハレルヤ』(第弐拾弐話)、ベートーヴェンの『第9』(第弐拾四話)、その後、パッヘルベルの「カノン」(シト新生)、バッハの『G線上のアリア』『主よ人の望みよ喜びよ』(Air/まごころを君に)etc.… 

などなど、物語後半になるにつれ、次第にクラシック音楽が使用されるようになります。

映像作品の中に、クラシック音楽がBGMとして挿入されることは多々あります。
映画『時計じかけのオレンジ』では、ベートーヴェンの『第9』が流れますが、これは脚本に組み込まれてのことなので必然性があります。ロッシーニの『ウィリアムテル序曲(スイス軍の行進)』は、少し奇手ですね笑。映画『ローン・レンジャー』での『ウィリアムテル序曲(スイス軍の行進)』、映画『ヘルタースケルター』での『第9』使用は、特に意味が見られません。ただシッチャカメッチャカ感を出したかったのでしょう。
最近では、映画『バードマン』において、マーラーの『交響曲第9番』とラフマニノフの『交響曲第2番』が、極上の映画音楽に化けて、上手く溶け込んでいます。

ですが、これらはあくまで映像にふりかけるスパイスとして、クラシック音楽をBGMに転用している感じがします。

一方、映像作品でのより深い表現のために、似たような表現内容を持つ曲を持ってくる、という手法もあるので、一部紹介しておきます。代表例としては、映画『2001年宇宙の旅』の冒頭に、リヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』の冒頭を持ってくる例。また最近のアニメでは、『血界戦線』のクライマックスにモーツァルトの『魔笛』を合わせてくるなど。
このようにして使われたのなら、過去の作曲家も冥利につきるというものでしょう。


…さて、エヴァンゲリオンに戻りましょう。
まず、初めて大々的にクラシックが流れる22話「せめて、人間らしく」。
使徒の攻撃である、謎の光が天から差すと、ヘンデルの『ハレルヤ』が流れ始めます。そっから戦闘終了まで、結構長い時間流れ続けます。すっごい明るくて爽やかな音楽です。

ハレルヤは好きだったのですが、初見時は頭を抱えたものです。なぜなら…
おおよそ、敵の攻撃を受けて、ヒロインが苦しんでいる時に流すような音楽ではないからです!

ハレルヤの主な歌詞の内容は「皆さん、さあ!主の中の主、神を讃えましょう!」というようなものなのですが、そんな光を使徒(Angel)、つまり天使が投げかけてくるのです。でもそいつは、全人類の敵なのです。そいつが華やかな音楽とともに、諭してくるのです。

その音楽と爽やかな光を受けて、ヒロインは精神を蝕まれながら、醜くもがき苦しむのです。

そんなシーンを見せつけられると…それを頭で理解するようになると、こんなことが頭に浮かぶようになります。

「…つまり、あれか?…悪いのは、シトではなく、ヒトだったのか?」 と。


もし製作者側が、視聴者にそのような疑念を抱かせるために、このような演出に打って出たのだとしたら、それはもう「やられた!」という感じです。ここでは劇伴が、単なるBGMの領域に留まっていません。

これまで使徒が出現するときは、いつだって不気味な姿や攻撃の後ろに、危機感のある不気味な音楽が流れていたものです。そこに、勇ましく明るい音楽と共にエヴァンゲリオンで出撃していたのが、これまでのパターンだったのです。

そこへ、格調高い「正統派感」を持った特殊な音楽ジャンルであるクラシック音楽が、舞台の仕掛けとして、視聴者の認識をひっくり返しに来るのです。


…(其ノ貮に続く)


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