2016-02-05 23:23 | カテゴリ:クラシック音楽

これまで、ハ長調のドミソ(I)・ファラド(IV)・ソシレ(V)・ラドミ(VI)の和音について、それらに含まれるド(主音)の倍音の強さを見てきました。

残りはレファラ(II)とミソシ(III)、シレファ(VII)になります。短三和音と減三和音です。

レファラ(II)は、ソシレの前に出てくる子分みたいな和音です。
レファラは短三和音ですが、ファが中程度の主音倍音を持ち、レもわずかながら主音倍音を含んでいます。

ミソシ(III)は、出現頻度が低い和音です。VIの子分みたいなものです。
ミソシは、どの音の自然倍音にもドがありません。

シレファ(VII)は、最も出現頻度が低く、ソシレファ(V7)の根音省略形のような、副産物と言ってよいでしょう。ファが中程度の主音倍音、レもわずかながら主音倍音を含んでいます。
他の和音と違い、シファという減五度音程を持ち、極めて不安定です。

さて、以上でハ長調の中の主要な三和音が全て出揃いましたので、その主音倍音強度を序列にしてみましょう。

ファラド(VI)>ドミソ(I)=ラドミ(VI)>レファラ(II)=シレファ(VII)>ソシレ(V)>ミソシ(III)

(属七やII7の和音が加われば、序列はまた変わってきますが、今回は三和音のみとします。)

ここから、頻出する和音記号に絞って、主音倍音強度の程度に書き換えます。

IV(強)> I(中) = VI(中) > II(弱) >V(極弱)

こうしてみると、主音倍音の強度が、機能別になっていることがわかります。

トニック( I&VI )が「中程度」。
サブドミナント(IV)が「強」。
ドミナント(V)とそこに至るIIが「弱」。

つまり、性格と機能の異なる和声の交代による音楽の「ゆらぎ」は、無意識的に、主音倍音の強度を聴いている事によって、もたらされているのではないでしょうか?

(こうした説を、私はまだ本で読んだり、人から聞いたことは無いのですが、誰かしらが何かしら別の言い方をしているかもしれません。)

さて、ココで例として、バロック時代の有名な作品、パッヘルベル作曲の「カノン」のコード進行を、この主音倍音強度の点から見てみましょう。

コード名とニ長調(Dメジャー)の和声
【D( I )→ A(V) →Bm(VI) → F#m(III) →G(IV) → D( I ) → G(IV) → A( V )】この繰り返し

【中 → 極弱 → 中 → 極弱 → 強 → 中 → 強 → 極弱】この繰り返し

この「カノンコード」は、4度下がるベースラインのシークエンスがとても美しく普遍性があるため、現在のポピュラー音楽にも多用されています。

それに加えて、主音倍音強度もまた、メリハリの効いた「ゆらぎ」を持っていることが分かります。
またそれは、ベースラインの上下と、拍の強弱に沿う形になっています。

もちろん、こうした倍音の強さは、実際には人々が聞こえるか聞こえないかの微妙なレベルの中での話なのですが、アコースティック楽器によって生で演奏されるクラシック音楽の良さ、その「宝石」は、もしかしたらこの領域に詰まっているのかもしれません。

おわり。



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