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2016-01-08 00:44 | カテゴリ:アニメ音楽
さて、前回に引き続き、『天元突破グレンラガン』第26話「行くぜ ダチ公」の音楽について。

今回はいよいよ、〈Libera me from Hell〉です。
youtubeやニコニコ動画では、国の内外を問わず、恐ろしい再生回数と絶賛の嵐を誇る、このトンデモ神曲。

アニメ本編でも、悲劇的なまでの爽快感をもつクライマックスシーンの裏で、この曲が流れ始めると視聴者は無条件で、言い知れぬ高揚感と深い感動に包まれるようです。

この曲を感じることは全人類にとってたやすい一方、この曲を理解し、解説するのは、クラシック畑の人でないと難しいのではないでしょうか。
そこで僭越ながら、私がガイドを務めさせていただきます。

・題名について

まず、このLibera me from Hell。「Libera me」はラテン語で、「リベラ メ」と読みます。和訳としては、「(神よ、)私を解放し給え」となります。文脈的には、死の恐怖から、または死後の地獄の苦しみから救い給え、という意味をもちます。
なので題名後半の「from hell」(英語)「地獄から」というのは、蛇足のような気がします。(丁寧な説明とも言えます)

さて、この「Libera me」という題名は、巨大な文化背景が含まれています。まず、クラシック音楽の源流である、中世ヨーロッパの「グレゴリオ聖歌」、そこから派生したルネサンス、バロック、古典、ロマン、近現代に至る「ミサ曲(レクイエム)」の中の一節に登場する、合唱と管弦楽で奏でられる教会音楽、すなわち宗教音楽の一種なのです。
1時間かそれ以上続く、荘厳な「レクイエム」(筆者も何種類か合唱団として歌ったことがあります)は、もはや儀式です。「Libera me」は、そんな儀式の終盤に現れます。ラスボスと言っても良いかもしれません。

ヴェルディのレクイエム、フォーレのレクイエム、ブリテンの戦争レクイエムでは、まさにそんな感じです。
超クライマックス感バリバリです。

・音楽的効果について

『グレンラガン』でも、物語終盤、ラスボスステージにてこの曲は流れます。狙ってますね。
高いソプラノ歌手と、対位法的な拡がりのあるオケの入りはクラシック調で、一層それを引き立てます。

しかし、この曲のポイントは、なんとそこにドラムが入り、男声の、英語によるラップ調ヒップホップが重ねられる点にあります。

コラボレーションさせるには程遠いジャンルの両者ですが、なんということでしょう、不思議と調和しており、音楽にさらなる深みと厚みを加えています。

・内容について

女性のラテン語パートは、歌詞の内容も歴史的な「Libera me」に即しています。
大ざっぱな内容としては…
聖書でいう「最後の審判」の日に、神が我ら人間を裁くため、恐ろしい天変地異とともに現れる。
その恐怖たるや、まして地獄に堕ちることとなる者の恐怖は、いかばかりか?
神よ、我らを、死者を、救い給え。その恐怖から、解放し給え。
…というような感じです。
このようにガクブルしてる人間は、ここでは完全に神の仔羊です。

さて、一方、ラップ調の英語の歌はといえば、
本編のCM前後のアイキャッチとともにRow Row Fight the Powerと歌われる、まさにその感じ。
とても軽いが、カッコいい。
そしてその歌詞は、完全にこの曲のために書かれたとも言える、シモンとカミナの口上のような内容。
神をも恐れぬ、向こう見ずな上昇志向、人類讃歌。

こうして、言語も曲調も内容も異なる、2種類の音楽が、2重螺旋のように交互に絡み合い、それが曲の進行とともにどんどん強さを増していき、盛り上がっていきます。
そして、最後には英語の方が、力強い掛け声となって打ち勝ちます。

この音楽は、まさにそのシーンの内容に即していると言えます。

死の恐怖に打ち勝ち、勇気でもって仲間を救ったキタン。
多元宇宙の誘惑に打ち勝ち、死者たちの思いと、いまを生きる者の思いを胸に、最終決戦へと臨むシモン、ヨーコ、ヴィラル、その他大グレン団。

これほどまでに、〈Libera me from Hell〉はアニメのストーリーに沿った内容を持っているのです。
そしてその劇的な効果は、音楽の極めて大胆な対比構造と、その調和によるダイナミズムにあるのではないでしょうか?

なんにせよ、このシーンは『天元突破グレンラガン』の興奮の頂点であり、それは世界のアニメ史に爪あとを残すには十分な芸術的価値を持っていると言えるでしょう。




(次回、同じガイナックス系アニメとして『エヴァンゲリオン』または『キルラキル』について取り上げようと思います。乞うご期待!)
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