2016-01-22 18:44 | カテゴリ:アニメ音楽

今作『破』のラスボス、第10の使徒(旧ゼルエル)の登場とともに、劇は長いクライマックスへと突入していきます。
今までの使徒戦に使われる音楽は、1体につき1〜3曲だったのですが、ゼルエルには7曲+αとなっており、圧倒的に多いのです。そしてそれらはドラマチックな効果を生んでいます。追って見ていきましょう。

防衛ラインを突破し、姿を現す「最強の拒絶タイプ」(旧:力を司る天使)の名は、伊達ではありません。火力、防御力、機能において、絶望的なまでのグレードアップを遂げています。

旧TVシリーズにおけるゼルエル登場時のインパクトを再現するには、もちろんそのままではダメなのでしょう。

しかし、外見はどうでしょうか?

旧TVシリーズと全体的な意匠は変わりませんが、比べると、まず脚が無くなっています。体は黒い包帯のようなものに包まれていると思いきや、その中身は空洞でした。そして全体的に黒い帯でヒラヒラしています。

つまり、見た目からは、それほど強そうには見えないのです。

では、あの圧倒的に強そうな印象は、どこから来るのか?

もちろん、音楽の力が大きいでしょう。

まず、登場時の新曲「In My Spirit」。それまでに比べると、かなり音数の多く、音圧も大きい楽曲ではないでしょうか。
オーケストラとコーラスで大盛り上がりです。調はニ短調(Dマイナー)。「力強さ」の調性です。曲風としては、ベートーヴェンの『第9』の第2楽章(同じくニ短調)にかなり近いと思います。

ここで指摘しておきたいのは、いままでの使徒戦BGMに比べて、「ドミナント−トニック」感がより強いものになっているということです。これは次の2号機戦での「Keep Your Head Above The Mayhem」においても同じです。

言い換えれば、これまでに比べて、様々な和音の「性格の違い」がより鮮明に聴こえるようになっているということです。
「機能和声法」的になってると言っても良いでしょう。これによって、シーンに「激動感」が与えられています。

「Keep Your Head Above The Mayhem」では、そのメロディの執拗な連続する音程によって、第10使徒の圧倒的な力と堅牢さが説明されているように感じます。また、メロディの頭の「休符」が、また憎い迫力を放っています。僕自身は、この音楽とシーンには物凄い戦慄を覚えると同時に、燃えましたね。

調性はホ短調(Eマイナー)。ホ短調の有名ドコロといえば、ドヴォルザークの『交響曲第9番「新世界より」』の終楽章でしょうか。なんとなく「渋い迫力」を感じる調性です。

また「Keep Your Head Above The Mayhem」は、2拍子系が基本かと思いきや、メロディが昇っていくときは、3拍子系が続きます。いわゆる「変拍子」でしょうか。これが更なるドラマチック感を増しています。

そして、「この形、なんか初めて聴いたような気がしないんだよなー」と、なんとなくモヤモヤしていたのですが、数年後に、旧劇場版『Air/まごころを、君に』('97)を見てピンと来ました。

その序盤、ネルフが戦略自衛隊の侵攻を受ける際のBGM「他人の干渉」の一部に少し似ているのです。鷺巣さんの何らかの意図によるものか、無意識によるものかは判別がつきませんが、もし旧劇のそれを覚えていて、新劇ゼルエル戦でそれを思い出したとしたら、さらに絶望感は大きかったでしょう。

…今回はここまで。
次回で『破』の最後にするつもりでいます。


それでは、また。
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