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2016-01-20 23:19 | カテゴリ:アニメ音楽

さて、『破』の後半は、大きな「展開部」となっています。
前半で新キャラたちが加わり、そこから充分に舞台環境が整ったところで、変化は訪れます。

エヴァ3号機(旧TV参号機)の登場は、まさにターニング・ポイント。「災の種」です。
TVシリーズではここから悲劇に転じ、凄惨な展開が続きました。

さて、新劇ではどうなるか?
昔からのファンは「来るか?来てしまうのか?あの展開が…」
とハラハラしたことでしょう。

結果は…あまりにも悲痛なものでした…旧作より自然に、丁寧に丁寧にフラグが積み重ねられており、しかもそれは登場人物たちの「善意」だとか「心遣い」によって更に補強されているのです…なんという悲痛!

でも、松代で爆発があった後でも

「こんだけ旧作より明るい健全な雰囲気になったんだから、ここから落とすにしても、底は浅いのでは?」

という淡い期待みたいなものを、やはりしてしまうワケですよ。


ところが、夕暮れに響く旧作からのお馴染みの音楽「Tranquillité 」、そして「Les Bêtes」が掛かって来ると、

「ああ…もう逃げられないんだな。この悲劇から…」

って絶望感に包まれるワケです。
しかも、「Les Bêtes」(意味はThe Beasts)では、旧作には存在しなかったサウンドが追加されています。
不協和音による、禍々しい「ハーーレーールーーヤーー」というコーラス。これは、否が応でも旧TVシリーズ第22話の、精神汚染のシーンを思い起こしてしまいます。(第22話ヘンデルの「ハレルヤ」については過去記事クラシック音楽@『新世紀エヴァンゲリオン』其ノ壱参照)

…しかし!です!

その絶望感の中でもまだ、希望を持ち続けた観客は意外に多かったのではないでしょうか?

なぜならば、『破』ではこれまでの前半に、旧TVシリーズでの鬱シーンを、ことごとく明転させているからです!
もしかしたら!…もしかしたら!
ダミーシステム起動という展開をキャンセルしてくれるんじゃないか!?
…だよな!?シンジ君!…頼むぞ!YOU CAN ADVANCE!!



…などと勝手に胸に一縷の希望を抱いた観客たちの心を、完全に粉砕したのは、ある音楽でした。


多くの人は後にこう語ります。
「ショックすぎてもうわけわからんかった」
「頭の中が真っ白になった」
「そこからの記憶が無い」
「魂が抜けるとは、まさにこの事」
「悲しすぎて、変な笑い声が出た」
「映画館側のミスかと思った」
「ブチ切れそうになった」

僕自身も似たようなものでした。
また多くの人が、その後もその音楽自体にトラウマみたいなものを覚えてしまったようです。

一体、どんな音楽が、そんな悪魔のような所業を成し得るのでしょうか?

激しい不協和音による、恐ろしい曲でしょうか?
それとも悲しく切ない、ピアノ曲でしょうか?

いいえ、1966年のヒット曲のカヴァーです。原曲はNHK「みんなのうた」のコーナーで耳にすることもあるでしょう。また小学生の頃に歌ったことのある人も多いでしょう。馴染み深ーい、懐メロです。しかも長調です。曲名は記事の題名の通りです。

では、一体誰がこんな曲をチョイスしたのでしょうか?
鷺巣詩郎さんでしょうか?

いいえ、庵野秀明さん、その人です。


エンターテインメントから程遠く、悪趣味以上に悪趣味……しかしながら、シーンに極めて強烈な衝撃と恐怖を刻みこみ、それでいて、なんというか逆に一周まわって
むしろココでは、この曲しかないだろ的な妙な説得力を持っているような気もしてくる、このチョイスについては、6年半経過した今でも、筆舌に尽くしがたいのです。

完全に、使いの者であるはずの鷺巣詩郎さんを押しのけて、神が直接手を下してしまっているのです。
そしてそれは、この世の理を越えてしまっているがために、人々は発狂してしまうのです

しかし、劇中の効果としては絶大です。
まず、歌が流れた瞬間に、これから何が起きるかということを、そしてそれがどんなに理不尽なことかを、観客はイヤというほど直観させられるのです。

そして観客は、主人公シンジ君の気持ちにならざるを得ないのです。
「!?」「やめてよ!」「ちょ…なにやってくれてんだよ!」「止まれ止まれ止まれ止まれ止まれ!!」「…何の音だ!?」「やめろぉぉおおおおおおお!!!!!」
までの一連の主人公の叫び(一部不正確)を、観客は心の中で同じように叫ぶのです。

そしてその後、主人公と観客は、あまりのショックに、我を忘れてしまうのです。


…なんというか…ここまで来ると、計算された演出と言うのも、おかしい気がします。
エヴァとは、庵野秀明とは何なのかを、観客は、ただ改めて知ることになるのです。

ここにおいて、新劇エヴァが今まで築き上げてきた温かで健全な雰囲気が、そして、鷺巣詩郎さんが今まで築き上げてきた音楽による新劇エヴァ感が、一気に崩れ去るのです。

そして主人公、碇シンジと観客は、今までの全てが、信じられなくなってしまうのです。


…つづく
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