2016-01-19 23:04 | カテゴリ:アニメ音楽

さて、続きです。

「時計使徒」戦で、アスカの乗る2号機が登場すると、物語、画面、音にパァッと彩りが加えられます。
登場時の音楽「Ambassadrice Rouge」は、旧TVシリーズから比べて、コレでもかというくらいサウンドが豪勢になっていますね。
オーケストラにエレキギター・ソロを融合するという鷺巣さんの技は、もはや匠の域に達しています。

ここから劇は、しばしの日常描写。
旧TVシリーズの、一番ほんわかしていた時の雰囲気を、上手くリニューアルしています。

さて、劇中の中盤に差し掛かったところで突如現れる、成層圏上の第8使徒。
ここはもう、TVシリーズからの視聴者は「このシーンキターーー!!」と嬉しくなったと思うんです。印象深い燃えシーンなんで。
…ですが、その分、緊迫感もパワーアップしています。
まず、見た目。TVシリーズ随一の破壊力を持った、天空を司る使徒「サハクィエル」と、TVシリーズ最恐の、夜を司る使徒「レリエル」を合わせたような出で立ちです。
N2航空爆雷という今回初登場のネルフ兵器も「え?なにそれ攻撃?」という感じで涼しい顔。
にも関わらず、伊吹マヤさんの、天然モノ問題発言?も相まって、この時点では、雰囲気は半ばギャグテイストです。
(劇場も、和やかというか、失笑という状態。)
それというのも、このバックで流れているBGMが、とっても聞き慣れた安心感のあるものだからでしょう。

しかし、敵が落下し始め、エヴァ3体のクラウチングスタートから「大運動会」が始まる頃には、雰囲気は一変します。
劇場内の皆さんも、明らかに「ドヨドヨ」し始め、手に汗を握りながら背筋がピンとし始めます。
この時流れるのは、新曲「Destiny」。これほどまで音楽によって空気が一気に変わる瞬間は、珍しいと思います。

今回の記事のメインディッシュは、コレに致しましょう。

さて、この曲について皆さんが感じる主な印象として、「緊張感」「焦燥感」「圧迫感」などがあると思います。
(ニコニコ動画のコメントでも、「やばい緊張する」「会社や学校に遅刻しそうになると、これが脳内に流れる」というのを見ました。)
それは一体なぜでしょうか?

まず、印象に反して、この曲のテンポは速くありません。
拍子もテンポもリズムも単純で、一定です。オーケストレーション的に、音が分厚いとかもありません。むしろ淡々としています。
では展開がドラマチックか?…いいえ、単調そのものです。同じ音型を繰り返していく「ミニマリズム」という手法で、和音も複雑な展開はなく、Aマイナーの音階上の音が出てくるだけです。

じゃあ何故か?

いくつか考えてみました。

・焦燥感
まず、テンポ。ざっと測ってみたところ、126といったところでしょうか。別段速いテンポではありません。
学校の運動会で流れるクラシック音楽「ウィリアムテル序曲(スイス軍の行進)」「天国と地獄」「剣の舞」「ギャロップ」などのほうが、ずっと速いと思います。

しかし、です。

多くのポピュラー音楽が、テンポ60または120なのにはワケがあると思うんです。
それはクラシック音楽が、まだ宮廷のBGMだったバロック時代の音楽(例:バッハ)にも言えることなんですが、つまり、一分間に60または120という数値が、人間の脈拍のテンポに即しており、落ち着いて聴けるからなのです。
(個人差はあると思いますが、僕も脈拍は59〜60で安定しています。)

そこにきて、「Destiny」は126です…ビミョーに速いのです。
この微妙さが鍵です。奇しくも、直前のオペレーターの報告として、「各パイロットの(…)呼吸、及び心拍数は正常(…)」というセリフがあるので、観客もミラー効果?によって落ち着いているところに、この「微妙に」テンポの速い音楽が流れ始めるのです。ここに心理的、生理的ギャップが生じ、ソワソワしてしまうのではないか?というものです。

・圧迫感
次に、絶え間なくリズムを刻んでいるスネアの音、そして低音で保続されているラ(A)の音です。
さらに、その上にソプラノ歌手の高音域が、長い息をもって歌われます。
これが、人間に息をつく隙を与えない緊張感になっている、というもの。
ニコニコ動画のコメントでも、「息をするのを忘れていた」というのを見た気がします。
これが3分間弱続くので、結構な潜在的ストレスになるのではないでしょうか。

・緊張感
最後に、メロディについてです。

「ド」ラララ「ド」ラララ 「ファ」ラララ「ファ」ラララ
「レ」シシシ「レ」シシシ 「ソ#」シシシ「ソ#」シシシ
「ミ」ドドド「ミ」ドドド 「ラ」ドドド「ラ」ドドド
「ファ」レレレ「ファ」レレレ 「シ」レレレ「シ」レレレ

という弦楽器群のメロディがずっと続くわけですが、

「ド」……完全4度音程……「ファ」
「レ」 ………増4度音程……「ソ#」
「ミ 」……完全4度音程……「ラ」
「ファ」…… 増4度音程……「シ」

という感じで、不安定な音程「4度」を基準にずり上がって行く音型で出来ています。
これが、いつまでたっても続くため、メロディにもまた緊張感の要素が含まれていると言えるでしょう。

・おまけ
ソプラノ歌手のメロディ。どことな~く、旧TVシリーズのサハクィエル戦のメロディに似ているような気がします。
性格はかなり違うんですけどね。

とにかくこのシーンは、音楽、演技、構成、作画、どれをとっても素晴らしいものなので、皆さん大画面で、大音量で観ることをオススメいたします。


…まだまだ次回につづく!


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